100万回生きた猫?
似てるけど違いますね
昔から世界的に愛されている痛快コメディーな内容となっており、
皆さんも一度は読まれたことがあるのではないでしょうか。
元々はヨーロッパ民話であるこの物語は
色々な画風で出版されていたりアニメ化されていたりとその活躍は多岐に亘ります。
今回はそんな「長ぐつをはいたねこ」を中田敦彦のYouTube大学で取り扱っていましたので感想も含めて紹介していきます。
粉屋の三男
むかしむかしあるところに粉挽き職人がいました。
ある日、その粉挽き職人が亡くなり、
残された3人の息子へ財産分与をするというところから物語は始まります。
- 長男には水車小屋
- 次男にはロバ
- 三男には猫
がそれぞれ遺産として分け与えられました。
猫かい(# ゚Д゚)
自分だけ価値の無さそうな外れくじ(猫)をもらった三男がガッカリしていると、
猫が「私に大きな袋と長靴をください」と言いました。
そうすれば良いことが起きると言うのです。
「人の言葉を話す猫」なんて一番価値があると思ってしまいますが笑
王様に献上
三男は猫の言うとおりに大きな袋と長靴を用意すると、猫は大きな袋を使って野山でウサギを捕まえました。
なるほど!
これで三男のところへ持っていくんだな
ところが猫は三男ではなく、王様のところへ行って「カラバ侯爵からの贈り物です」と献上したのです。
このカラバ侯爵というのは猫が勝手に名前をつけた三男のことでしたが、王様はすっかり信じ込み、それから何度も猫からの贈り物を受け取りました。
溺れ芝居
ある日のこと、猫は王様が川沿いを馬車で通るという情報を仕入れ、三男に川で水浴びをさせました。
そしてそこを通りかかった王様とお姫様に向かって「カラバ侯爵が水浴びをしている間に大事な服を盗まれた」と嘘をつきました。
それを聞いた王様は気の毒に思い、立派な服を三男に贈りました。お姫様も立派な服を着た三男を気に入った様子です。
王様は三男を馬車に乗せ、三男の家まで届けることにしました。
農民の言葉
馬車を先導する猫はその行く先に先回りし、道端で会う農民たちに「ここはカラバ侯爵の領地です」と言え。と脅しました。
驚いた農民たちは猫の言う通りに、王様に尋ねられると「カバラ侯爵の領地だ」と皆が答えました。
そしてそれを聞いた王様は「カラバ侯爵はなんて広大な領地を持っている貴族だろう」とすっかり信じ込んだのです。
人食い鬼の城
馬車を先導する猫はまたもや一足先に大きなお城に到着しました。
そこは恐ろしい人食い鬼が住む城だったのです。
まさか鬼舞辻無惨!?
鬼は変身能力があり、ライオンに化けて猫を脅かします。
すると猫は「いくら鬼でもネズミほど小さくなることは出来ないだろう」と鬼をだまして、ネズミに姿を変えさせたところで食べてしまいました。
結婚
馬車が近づくと、猫は外に出て
その鬼の城に向かって「カラバ侯爵の城へようこそ」と王様たちを迎えました。
広大な領地、大きく立派なお城、豪勢な食事……。元々優しい性格で育ちの良かった三男は見事にカラバ侯爵になりきり、王様はすっかり三男のことを気に入りました。
お姫様もそんな三男に恋をし、それに気づいた王様は、三男にお姫様との結婚を申し出ました。三男は喜んでそれを受け入れ、2人は式を挙げ幸せに暮らしました。
そして猫は大臣に任命され、今日も悠々と城の中のネズミを頂いているのでした。
おしまい
まとめ
外れくじを引いたところからの大逆転劇が痛快だね
兄たちの譲り受けた価値のあるものや実用的なものではなく、一見何の役にも立ちそうもない猫がもっとも良い方向へ導いてくれました。
ここから学べる教訓として
見た目だけでは本質を図ることはできない
「親からの遺産などあるものをそのまま受け継いでいくのではなく、自分の力で知恵を使って人生を切り拓くことが大切」
といったことが学べるのではないでしょうか。
また素朴な疑問として、そもそも猫はなぜ「長靴」を求めたのでしょう。
このタイトルにもなっている「長靴」が物語の中でさほど重量な役割を果たしているようには見えません。
- 野山でウサギを捕まえるのに必要だった?
- 王様に謁見する最低限の正装?
色々と可能性がありますがこの「長靴」を履く理由や必要性についても考えてみたいと思います。
そんな疑問を紐解くには出版当時の時代背景を考える必要があります。
シャルル・ペローが出版した1697年は、貴族が絶大な権力を持っている時代でした。
当時における貴族の象徴は「ブーツ」であり、本作における「長靴」とは、その「ブーツ」を指していたという見方もあるのです。
つまり「長靴」(ブーツ)を履いていれば、猫であろうと貴族に見えたという世界観を表しているのです。
確かに王様は猫からの献上品をなんの疑いもなく受け取ってる。
農民たちも猫の命令に素直に従っているしね。
どんな者でも長靴さえ履けば貴族になり、そして人々はそんな見せかけの権力に簡単に屈してしまうという貴族社会に対しての皮肉とも言えるのです。
こういった子供の頃には分からなかったことも、大人になってから読み返すと色々な解釈が出来ることも魅力の一つです。
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