星の王子様?
なんだか聞いたことあるような……
凄く魅力的な作品ですが、例えや比喩など難解な部分も多く含まれており、子供の頃に読んで挫折してしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな名作を中田敦彦のYouTube大学で取り扱っていたので、感想も含めてまとめていきたいと思います。
フランスの作家サンテグジュペリの作品「星の王子さま」。
様々な翻訳版がある子供向けに書かれた童話ですが、大人だからこそ響く内容になっております。
歳を重ねてもどこか大人になりきれないパイロットが、王子様と出会い、過ごすうちに「生きるうえで大切なこと」を思い出していきます。
あらすじ① 僕
実は主人公は王子様ではなくパイロットの「僕」。
元々は絵描きになりたかったのですが、子供の頃描いた「像を飲み込んだヘビ」を大人に理解してもらえなかったことで絵を描くことをやめ、パイロットになったのでした。
心から分かり合える人には出会えないまま生きてきた……
そんな僕が飛行機のトラブルで砂漠に不時着するところから物語は始まります。
あらすじ② 砂漠の出会い
砂漠に不時着した僕は小さな男の子に出会いました。そしてその男の子は他の惑星からやってきた王子様であることを知ります。
「羊の絵を描いてよ」と王子様が言いました。
僕は困って子供の頃に描いたあの「像を飲み込んだヘビ」を描きます。
すると王子様は「僕が書いて欲しいのはこんな『像を飲み込んだヘビ』なんかじゃない」と納得しませんが、僕はそのヘビの中(像)を理解したことにビックリします。
僕はその後、何度も羊の絵を描きますが王子は納得しません。僕はあのヘビの絵と同じように穴の開いた木箱の絵を描いて、この中に羊がいると言って渡すと、王子はその絵を見て満足します。
そんなやりとりをしながら僕はだんだん王子のことが分かってきます。
ここからは王子の話が始まるよ
- 地球の外側にある星からやってきたこと
- その星はとても小さいこと
- 友達が欲しかったこと
ある日その星に小さくて美しい一輪のバラが咲きました。
王子はそのわがままで言葉にもトゲのある美しいバラをすごく大事に想い、毎日一生懸命お世話をしますが、些細なことが積み重なりバラとケンカをしてしまいます。お互い大事に想っていても上手く労り合えなかった王子とバラは別れを選択し、王子はその星を旅立ったのでした。
あらすじ③ 地球に来るまで
王子様はそこから地球に来るまでに6つの星を旅してきました。
1つ目の星は王様の星でした。たった一人で星に住んでいる王様は「私の言うことは絶対」「私がルールを決める」など自分の権力を使うことしかしてこないので嫌になって星を出ました。
2つ目の星はうぬぼれやの星でした。自分はスーパースターだと名乗り、とにかく拍手や褒めて欲しがる彼に嫌気がさして次の星へ向かいます。
3つ目の星はのんだくれの星でした。彼は自分が酒浸りになっていることを恥じらいながらも、その恥を忘れるためにまた飲むという有り様でした。そんな彼に困惑して王子は次の星へ向かいます。
4つ目の星は実業家の星でした。彼は自身の所有する星を数えながら次の星の算段をしています。何が楽しいのか分からない王子は次の星へ向かいます。
5つ目の星は点灯人の星でした。この星は小さいので2分おきにやってくる昼夜に合わせて電灯(ガス灯)の点灯を繰り返す彼はとても忙しそう。王子は次の星へ向かいます。
6つ目の星は地理学者の星でした。地理学者であるこのおじいさんは、自分では探検せずに本を読んで研究するだけの人でした。バラのことを聞こうとした王子はがっかりしておじいさんに紹介してもらった地球へ向かいます。
この6つの星のエピソードは寓話のような話になっており、それぞれの星からのメッセージが含まれています。
- 王様の星 権力
- うぬぼれやの星 人気
- のんだくれの星 快楽
- 実業家の星 財産
- 点灯人の星 労働
- 地理学者の星 研究
これは、それぞれ価値観や大事に思っていることを極端にした6つの人物エピソードによって
人生において溺れがちなこと・費やし過ぎてしまいがちなことを示しているのです。
「こんな奴は嫌」と言いながらも
どれか当てはまっていることない?
ドキーン!!
そして王子さまが7つ目の星である地球をこう言い表します。
「地球という星は面白い……111人の王様と3億1100万人のうぬぼれやと、750万人ののんだくれと、90万人の実業家と46万人の点灯人と、7000人の地理学者がいる星さ」
皮肉たっぷり笑
地球に着いた王子は砂漠でヘビと会います。
ヘビは「自分が毒を持っているから誰かを遠くに連れていくことができる。もし最初の小さな星へ戻りたかったら僕の元を訪れると良い」と言います。どういう意味かは分かりませんでしたが王子は別の場所へいきます。
あらすじ④ バラ園とキツネ
砂漠を抜けた王子はレンガに囲まれたバラ園に着き、キツネと会います。
今まで小さな一輪のバラしか見たことのなかった王子は大量のバラを見て驚きます。
そして自分が知っていたバラは1本しかない特別な存在ではなく、どこにでもあるありふれたバラの中の1本だったことにショックを受けている王子にキツネが「本当に同じかもう一度よく見てみろ」と言います。
キツネの言うようにバラをよく見た王子は、この大量のバラはあの自分で育てた特別なバラではないことに気付きます。
「あのバラだけが僕の大切なバラなんだ!!」
見た目の美しいもの(人)であれば世の中にたくさんあるのかも知れませんが、全てが特別な存在にはなる訳ではありません。
なぜ大事な人を大事だと思えるか、愛おしく思えるかは
その人へどんなことをしたのか・してもらったのか、どんな会話をしてきたか、どんな時間を過ごしてきたかといったことの積み重ね。
つまり「愛情は育てていくものだ」と教えてくれているです。
「運命の二人」とは、最初から決まっているのではなく、過ごした時間が「運命の二人」にしていくんですね。
そして王子様はあのバラの元へ戻ろうと思うのです。
あらすじ⑤ 井戸とヘビ
故障した飛行機の修理をしながら
そんな王子の話を聞いていた僕は、王子の案内で井戸に行きます。
「どこかに井戸があると思うだけでこの砂漠は美しいと思える」という不思議な話をされます。
そしてバラの待つ自分の星へ帰るという決意をした王子は僕に別れを伝えます。
別れは寂しいけれど、「あの星のどれかに僕がいると思うだけで星空を美しいと思えるようになるはずだ。だって君は見えないものを見えるでしょ?大切なものは目に見えないからね」と王子は言います。
そして王子は地球に来てからちょうど1年が経つ日にヘビの毒で倒れます。
翌日、王子の体もなくなっていました。
僕は「王子はきっとバラの待つ星に帰ったのだ」と思いました。
おしまい
まとめ
どうでしたか?作中に出てくる「本当に大切なものは目には見えない」というフレーズは有名だし、本当に印象的です。序盤の像を飲み込んだヘビの絵や箱に入った羊の絵もそのことを示していたんですね。
見えるものだけに集中し過ぎて本当に大切なものを見失っていないか?いうことを考えさせられます。
また、「僕」に、社会に出て世間体を気にする大人になってしまった自分を重ねることもできると思いました。もちろん全てが子供のままではいられないこともありますが、子供の頃の感情や素直さなどはいつまでも大事にしていきたいという気持ちを王子さまが教えてくれました。
この星の王子さまの作者でもあるサンテグジュペリはパイロットだったという話は有名ですが、
1935年にベトナム~フランス間の飛行中にサハラ砂漠に不時着しているという事実があるようです。
パイロットだった作者の実話!?
そんなサンテグジュペリの生きた時代は第二次世界大戦の真っ只中でした。そして終戦間際フランスの爆撃機に乗ったサンテグジュペリは地中海で消息を絶ち、帰らぬ人となりました。
それから時を経て、世界中から愛された続けた「星の王子さま」
実はあのジブリの宮崎駿監督も大好きらしいよ
君をのせて
あの地平線輝くのはどこかに君をかくしているから
たくさんの灯が懐かしいのはあのどれかひとつに君がいるから
※「天空の城ラピュタ」より引用
これはまさに星の王子さまがパイロットに言ったことです。
サンテグジュペリは星になって今もどこかで私たちを見ているのかも知れません。
そう思うと星空がいつもより美しく感じられませんか?
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