新しい社会保障「ベーシックインカム」とは?

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びんかん君

え?お金が貰えるの?

新たな社会保障として
世界的に注目され始めた「ベーシックインカム」
最近このワードをニュースだったり動画なんかでよく聞きますよね。
そんな中、「ところでベーシックインカムって何?」という方もいらっしゃると思いますので今回はそんな疑問を解決すべく大好きなYouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」で取り扱っていた内容をまとめていきたいと思います。

「現金給付」の経済学
反緊縮で日本はよみがえる
井上智洋著 NHK出版

ITやAIの普及・コロナなどの影響もあり広がる格差社会。
世界的に経済が困窮している中で「弱きものを助けよう」という社会保障の歴史と仕組みを理解し、これから人類はどうアプローチすべきなのか。何が最も新しい考え方なのか。
これを知ることで私たちの未来(今の日本の現状とこれからの生活)が見えてくる。という内容になっていますので是非一緒に学んでいきましょう。

目次

ベーシックインカムとは

ベーシックインカムの定義
国民全員に生活できる範囲最低限度の給付金を無条件で与える

びんかん君

なんか……生活保護っぽくない?

生活保護と違う点は「国民全員に」「無条件で」というところ

生活保護制度の定義
生活に困窮する方に対しその困窮の程度に応じて必要な保護を行い健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに自立を助長する制度

びんかん君

なるほど!
受給するには条件があって選別をするんだね

困窮している人の中でも条件を満たした人を救うのが生活保護なのです。

びんかん君

よく不正受給とか本当は受給するべき人が受給できないとか色々な問題を耳にするよね。

どんかん先生

ベーシックインカムには、そういった行き渡っていない不十分なところに行き渡らせようという願いがあるんだよ。

なぜ注目されているのか

いつから?

さて、このベーシックインカム。注目され始めたのは2020年から

2020年3月 イギリス首相 ベーシックインカムについて検討する必要があるという声明

2020年4月 ローマ教皇 ベーシックインカムについて検討しないかという声明

2020年6月 日本でも経済学者たちの中でベーシックインカムについて検討され始めた

考え方自体は18世紀頃からあったが、当時はなかなか受け止められませんでした。

びんかん君

そりゃそうだよ。国民全員にお金を配るなんて今の僕たちでもなかなか理解できないもんね。

それがこの2020年になって急に検討され始めてきたのは何故なのでしょうか?

注目され始めた背景

2010年代からITとAIが普及したことによって経済格差の二極化が拡大していきました。

びんかん君

色々な技術やテクノロジーを理解して使いこなせる人とそうでない人がハッキリしたよね

どんかん先生

そこにきてこのコロナショック
コロナが経済格差を一気に加速させたよね。

本来は2030年あたりに深刻化してくると予想されていましたが、コロナの出現によってその問題が10年加速されたと言われています。

二極化と言ってもお金持ちが増えるのであれば問題ないのですが、これによっていわゆる貧困層(低所得者層)が増えていったというところが問題なのです。

びんかん君

問題?

今までの社会は
低所得(少)中所得(多)高所得(少)という
中間層とお金持ちで低所得者を支えるということで成り立っていました。

ところが、中間層が減り低所得が増え過ぎたことで一気に今までの社会保障システムが崩壊する危険性が出てきたのです。

まとめると

経済格差によりこの20年で今までの社会保障システムが崩壊するほどに低所得者層が増大してしまったことによりベーシックインカムの必要性が注目され始めた

ということです。

これは不況な日本だけの問題ではなく世界的な潮流です。世界中が直面している必然的な新しいテーマへの向き合いということになるのです。

社会保障の歴史

びんかん君

ベーシックインカムについては何となく分かりましたが、
そもそも今までの社会保障を知らないんですが……

という方へ社会保障システムを説明します。

社会保障には時代ごとに生まれてきた「自助」「共助」「公助」という3種類があり、今の私たちはそれらを組み合わせて使っています。

①エリザベス救貧法 1601年 イギリス

貧困層が増えてきたことによって怪我や病気などで労働能力の無い貧困者は保護し、労働能力を持つ貧困者は強制労働させるというものだった。
この働けるのなら働こうという考えが「自助」である。

どんかん先生

あっちゃん曰く「働けるんなら働けや法」笑

社会保険 19世紀 ドイツ

自助の考えだけではどうしようもない事柄に対し、失業保険や年金(長生き保険)といった皆で集めたお金で困ったことがあった人に保険金を出す仕組み。
このみんなで助け合う(お金を出し合う)考えが「共助」である。

生活保護 1942年 イギリス

自助や共助の網目からもれて困っている人を対象に税金で国から出す仕組み
この国が税金で補助する考えが「公助」である。

  1. まずは自分で働いて(自助)
  2. 大変なときはみんなで助け合い(共助)
  3. それでもダメなら国で助ける(公助)
どんかん先生

この順番も含めて「自助」「共助」「公助」の原則というんだよ。

びんかん君

あ、なんか昔、授業で聞いたことあるかも

この原則によって人類は社会保障を充実させてきたのです。

生活保護の欠点

びんかん君

でもさ……さっきの話、こんな充実してる3段階の壁なのに貧困層の拡大によって破綻しようとしているんだね。

どんかん先生

そうなんだよね。
ここでは最後の壁である「生活保護」の欠点について説明しておくね。

びんかん君

欠点?

欠点① 抜け出しずらい

そもそもこの生活保護とは、その定義にもあるように自立を助長する制度なのであり、公助から自助へ送り出すような手助けが理想なのですが、その仕組みによって抜け出しずらいという欠点があるのです。

例えば年間100万円給付されているひとがいるとしましょう。

  • 全く働かないと100万円給付される
  • 自分で20万円で働くと給付は80万円
  • 自分で60万働くと給付は40万

のように自分で働いて101万を超えない限り合計100万は変わらないのです。

びんかん君

あー、なるほど。結果が同じだったら働かなくてもいいやってなっちゃうよね。

この押し返しのモチベーションが抜け出しずらく滞在しやすくしてしまっているのです。そしてこれを貧困の罠というのです。

欠点② 選別の困難

選別して自助を原則にしているからこそこの公助にたどり着くまでのフィルターがあります。
例えば「本人の健康状態」とか「支援してくれるような親兄弟など家庭環境の状況」などですね。

でもこのフィルターは本当に適切なのかわかりません。
家庭環境やメンタルのことなどそれぞれ個人差がある中でひとつの基準で図るということが極めて難しいことなのです。

一説によると必要な人のうち、捕捉率は2割ということが言われているようです。

びんかん君

え?8割の困窮者が網目から洩れているの?ダメじゃん!!

欠点を補う新しい考え方

どんかん先生

だから新しい社会保障システムが必要って話なんだよ

びんかん君

じゃあ4番目の新しい壁が「ベーシックインカム」ってことなの?

どんかん先生

いや、4番目ではなく、そもそもの順番を変えているんだ。

ここでもう一度ベーシックインカムの定義を思い出してください

ベーシックインカムの定義
国民全員に生活できる範囲最低限度の給付金を無条件で与える

びんかん君

あ、最初に無条件で全員に配っちゃうのか

どんかん先生

そう。これは公助→自助→共助という順番を変えてしまう大胆な発想法なんだよ。

びんかん君

これなら選別もないし、抜け出しずらい問題も全員に一定額給付することで罠を回避だね。

よくある質問

びんかん君

こんな夢のような方法があるならすぐにやっちゃおーよ

となってしまうところですが
このベーシックインカムについてのよくある質問に対しても
著者は本の中で丁寧に答えています。
※もちろん色々な考え方があるとしたうえで

財源は?

びんかん君

あ、そりゃそーだ。
どーするんだろう?

財源は富裕層向けの増税でまかなうことが理想とされています。(所得税・資産税・炭素税など)

全員一律の消費税などの税金ではなく、累進課税(所得が高いほど税率が引き上げられる)の強化をなどで高所得層増税(+国債発行)を財源にするということです。

びんかん君

お金持ちから取って貧しい人たちに無条件で配るなんて……義賊ですか!?

どんかん先生

それが社会保障の原則だからね。
ただ、それをお金持ちたちが受け入れるかだよね

今までの社会保障は?

  • ①今までの社会保障を全部無くす派
  • ②被っている一部を無くす派
  • ③今までの社会保障を全部残す派

2020年元国務大臣の経済学者がベーシックインカムを発表したときに「お金持ちを優先して貧困層を切り捨てる策なのではないか」という国民の誤解を生みプチ炎上となったのが、まだ理解度が低いうちに①を説明されて勘違いしたのが理由ということです。

この辺りは色々な考え方がありますが著者は②の中間派を推進しています。ただ、いきなりというのも難しいので

まずは③から導入して段階的に少しづつ②に移行していくのが良い

という考えです。

支給額は?

こちらも色々な議論がありますが

  • ますは少額から開始して(月3~5万)
  • 段階的に増額していく(月7~10万)

が良いと言っています。また、固定額+変動額(国家の景気による)のような考え方もあると言われています。

まとめ

ここまで読んで頂いた方はベーシックインカムがどんなものか、注目・必要とされる理由、今までの社会保障の仕組み・歴史・欠点についてよく理解出来たかと思います。

よくある質問であった「財源」「今までの社会保障」「支給額」はこれからの議題です。

大事なことは

  • 今までの社会保障が崩壊しつつある
  • その現状を変えるために新しい社会保障のシステムが議論されている
  • その議論されているのには色々な種類がある

それらを認識することで正確に自分の意見を持つことができます。
特に今までの社会保障はどうしていくのかなどの議論は、どんな種類の議論があるのか分からないとベーシックインカムについて賛否の意見が言えないですよね。

びんかん君

あ、今思い付いたんだけど
子供10人くらい出来たら大富豪じゃね?

こういった抜け道的な問題などもあるので細かいルール作りは必要ではありますが
何より大事なのはこういった新しいやり方で人類はもう一歩先へ進めるのではないかということ。自助・共助・公助の歴史のように一歩づつ進んできて今があるのです。なので怖い気持ちや不透明なこともあると思いますがひとつひとつ議論しながら前に進みましょう。

頭の良い人たちがもう新しいベーシックインカムというものを思い付いているのです。それを適切に導入していくにはどうしたら良いのかという建設的な意見を国民みんなで考えることが大事なのだと思います。

びんかん君

その通りです。勉強になりました。

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