北欧神話?
熱烈なファンも多く、ファンタジーの原点とも言える神話が「北欧神話」です。
というのもこの北欧神話が、あらゆるゲームやアニメ・漫画などのファンタジーの元ネタになっていると言っても過言ではないほど影響を与えられた作品で溢れています。
「進撃の巨人」なんてまさにだよね
中二病にはたまらない神話だ
ファンタジーの原点とも言えるそのストーリーとは?登場人物とは?そんな北欧神話の魅力について中田敦彦のYouTube大学で取り扱っていましたので感想含めてまとめていきたいと思います。
北欧神話の歴史
1世紀頃
キリスト教が布教される前からスカンジナビア半島周辺(スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・アイスランド)で広まっていった神話でした。
8~10世紀頃
世はヴァイキング時代。戦いと商売を生業にしている北欧の海賊たちは、明日は生きられないかもしれないという過酷な生活の中で神を信じるようになります。
この頃はまだ書物ではなく口伝えの伝承でしたが、北欧神話での最高神が戦闘的で知恵にも優れた神「オーディン」となったのはこの頃の海賊たちの影響かも知れません。
12世紀頃
この頃、ようやく書物となっていきます。「エッダ」と呼ばれる書物には2種類あり
- 原点と言われる詩(ポエム)で記されている「詩のエッダ」
- 後にスノッリという人が詩の解説した「スノッリのエッダ」
- 他にも「サガ」と呼ばれる数々の物語が残っています。
この2つのエッダが北欧神話の原点とされており、複数のサガと共に17世紀頃になってようやく発見されたのです。
あらすじ①原初の神
遥か昔……何もない世界に氷と炎の二つの世界がありました。
その対極するエネルギーがぶつかることで生命が生まれます。
そうして生まれたのが原初の巨人「ユミル」です。
ユミルは次々と巨人を生み出していきます。ところがある時、氷からある生命体が生まれてきます。その生命体とユミルの生み出した巨人が交わることで、最高神「オーディン」が誕生します。
オーディンは原初の神である巨人ユミルを殺害し、そのユミルの体を元に「世界」を作ります。
いきなり好戦的?
あらすじ②最高神の天地創造
北欧神話の世界は
巨大な世界樹「ユグドラシル」という神木が世界の中心にそびえ立っている世界です。
キリスト教における知恵の実をもぎ取った生命の木、仏教における菩提樹など、世界の中心に巨大な木があるという話は他にもよく聞きますが、この北欧神話ではその存在感がものすごく大きいのが特徴です。
世界樹をテーマにした有名なゲームとかあるよね
そしてこの世界には9つの国と3種類の種族が存在します。
- アースガルズ(アース神族の国)
- ミズガルズ(人間の国)
- ヨトゥンヘルム(巨人の国)
- ヴァナヘイム(ヴァン神族の国)
- アールヴヘイム(エルフの国)
- スヴァルトアールヴヘイム(ダークエルフの国)
- ヘルヘイム(冥界)
- ニヴルヘイム(氷の国)
- ムスペルヘイム(炎の国)
- 神族(オーディン率いるアース神族とヴァン神族)
- 巨人族(ユミルの子孫である巨人の一族)
- 人間族(オーディンが木の人形に魂を入れ込んで作った一族)
- ※今回の物語には出てきませんがエルフ族(妖精)もいます。
この3種族がそれぞれ別のエリアに住んでいます。
日本で例えると
お城に神族、城下町に人間族、城下町の外に巨人族
のようなイメージです。
あ、ここも進撃の巨人そっくりだ
この世界ではアース神族がトップに君臨してします。
アース神族は最高神であるオーディンを筆頭に「雷神トール」などもいます。
人間族の中には「強戦士ベルセルク」など神族に使える者もいます。
一方、巨人族は壁の外に追いやられ嫌われています。それはオーディンによるユミル殺害の件で、神族や神族によって作られた人間たちが巨人に復讐されることを恐れていたからでした。
あらすじ③神族VS神族
そんな中で神族同士の争いが起こります。
あるときヴァン神族という他の神の一族が現れます。
当然アースガルズ(天界)に住んでいるオーディン率いるアース神族との争いとなりますが戦いは長期化。
最終的にはお互いに人質を交換するなど和平交渉を行い和解となります。
ヴァン神族の人質(神質?)としてやってきたのが愛の女神「フレイヤ」です。
美しく、色気もあり、欲深い…まるで峰不二子
他には巨人族の末裔である「ロキ」という神も登場します。
ロキは善悪混合の神であり、トリッキーなキャラクターです。
あらすじ④神々の日常
しばらくは平和な神々の日常が描かれます。
雷神トールVS善悪混合の神ロキの「5番勝負」というものがあります。
内容は……①食べ比べ、②走り比べ、③酒飲み比べ、④猫持ち上げ、⑤老婆相撲
なぜか全てにおいてロキが勝ちます。実はロキは幻を見せる力を持っているので戦わせる相手を変えていたのです。
- 食べ比べ⇒火
- 走り比べ⇒思考
- 酒飲み比べ⇒海
- 猫持ち上げ⇒大蛇
- 老婆相撲⇒老い
なんだか哲学的というかなんというか笑
他にもロキとフレイヤが起こす事件として
- 雷神トールの奥さん、ある朝起きたら丸坊主事件
- フレイヤ首飾り欲しさに職人たちと一晩事件
- アースの城壁を作った巨人族へ報酬払わずにトールが頭カチ割る事件
ちょっとくだらない話もあるよね
直接のストーリーにはあまり関係のないエピソードも描かれますが、全体的に巨人がひどい目に遭うという話が多い中で「巨人が悪ではない」ということに気付きます。
つまり巨人が悪さをしているという悪役ではなく、神と人間にイジメられている立場として描かれているのです。
あらすじ⑤滅亡の予言
そんな平和な日常にも終わりがやってきます。
最高神オーディンの元に予言者が現れ、予言を告げます。
「巨人族が攻めてきて神族がまもなく滅びる」
予言を聞いたオーディンは以前より抱いていた巨人族への恐怖を振り払うためにも最終戦争(ラグナログ)の準備を始めます。
神族だけでは戦力が足りないと考えたオーディンは、
「戦乙女ワルキューレ」に人間の英雄たちへ分け与えていた自身の力を回収して戦力として組み入れろということを命じます。
- 人間の英雄たちを殺し
- その魂を宮殿ヴァルハラへ導き
- 自分たちの兵として蘇らせる
というものでした。
一方、オーディンには正妻「フリッグ」とその息子である光の神「バルドル」がいました。
バルドルの死を予言されたフリッグは祈り続けることでバルドルの体を無敵にします。
祈って無敵?母の愛はすごいな
それに疑問を持ったロキがバルドルの弟をけしかけます。
「無敵なんだから大丈夫」と、バルドルへ向けて矢を射ると無敵のはずのバルドルがなぜか倒れます。
なんとそれは「無敵対象になっていない素材」で作った矢だったのです。
母フリッグは冥界のバルドルを連れ戻そうと「冥界の神ヘル」に頼みます。
するとヘルは
「世界中の全ての神が復活を願うことが出来れば復活させる」
と条件を出します。
全員の賛成を求めるフリッグでしたが、女性に変装したロキの反対意見によってバルドル復活は叶わなくなってしまうのです。
中盤あれだけコミカルだったロキがまさかの裏切り?
ロキは裏切りがバレて、捕まりますが、このことがきっかけとなり最終戦争(ラグナロク)が始まるのでした。
あらすじ⑥ラグナロクと世界の終焉
ついに神族VS巨人族の最終決戦が始まります。
普通はこれだけエピソードのある主人公的な神族が巨人族を圧倒するという展開になりそうではありますが、屈強な巨人族によって神族の主要神が次々と相打ちでやられていきます。
雷神トールも因縁の相手ロキやその仲間によってやられます。
オーディンもロキの息子である狼フェンリルによって丸飲みされてしまいます。
そして神も巨人も全員が滅んでしまうのです。
最終的に「炎の巨人スルト」によって世界は焼き尽くされます。
この「炎の巨人スルト」は最初の氷と炎という二つの世界のうち、炎の世界にずっといた原初の神に近い存在でした。
神と巨人の世界をずっと見守ってきた「炎の巨人スルト」によって全てを燃やし尽くされて戦いは終わるのです。
人類の文明の象徴でもある火はやっぱり特別な存在だよね
あらすじ⑦世界の再生
全てが終わり、何もかもが燃えきって滅亡した世界に今までの神や巨人たちはいません。
生き残ったのはなんと男女の人間が一組でした。
僅かに生き残った神々も少数いました。そしてその神々全員が望むことで光の神バルドルが復活します。
神々は地上を人間に託して天に帰っていくのでした。
そしてその「人間の男女こそが、我々人間の始祖となる」…というところでこの物語は終わるのです。
まとめ
どうでしたか?
こうして学んでみると「あのゲーム」や「あのアニメ」などで使われている名前やストーリーもたくさんあったのではないでしょうか?
神話というストーリーから歴史(ヒストリー)に繋げるという大まかな流れは他の神話と共通していましたが、
- ギリシャ神話のような神と人間の子供が英雄として国を治める
- 日本の古事記のような神の子孫が天皇家として国を治める
という話とは違い、
北欧神話では神と人間は完全に分かれています。
神も巨人も滅びて人間だけが生き残るという結果も他の神話との違いだと言えます。
また、善悪混合の神「ロキ」も面白い存在でした。
神でもあり、巨人族の末裔である。
味方なのか敵なのか。
もしかしたら主人公なのかも知れないと思うほど魅力的なキャラでした。
なんだかエレン・イェーガーみたい
物語のラストでは悲劇的とも言える世界の終焉…そして再生。
北欧神話にはまだまだ紹介しきれていないほど数々のエピソードなどもあり、
ファンタジー好きのあなたにはぜひ読んで欲しい神話となっています。
これからヴァルハラへ向かいたいと思います。
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