鎌倉時代……本当の主役は北条政子だった!?

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絶賛放映中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」ですが、今回は人気の戦国や幕末ではなく、平安~鎌倉時代を舞台にした大河ドラマとなっています。
主人公は「北条義時」となっており、もちろん義時の姉である「北条政子」も登場します。

そんな今まさに注目されている鎌倉時代ですが、なんとなく地味なイメージありますよね。
それはあなたがフォーカスする主人公を間違えていたからかも知れません。

びんかん君

え?完全に源頼朝でしょ?

鎌倉時代の主人公は……

  • 鎌倉幕府を作った鎌倉殿「源頼朝」ではなく
  • 悲劇のヒーロー「源義経」でもなく
  • 大河ドラマ主人公「北条義時」でもない

「北条政子」一択なのです。

「学研まんが NEW日本の伝記 16 北条政子 」
野村朋弘監修 東園子漫画
学研プラス

この北条政子を主人公に据えて鎌倉時代を見れば、「どんな時代だったか」が分かります。そしてなによりもっと面白くなります。そんな人物「北条政子」を中田敦彦のYouTube大学で取り扱っていましたので感想含めてまとめていきたいと思います。

目次

政子と頼朝

時は平安時代末期……平清盛をトップとする「平家」が政治の実権を握っている時代でした。
その繁栄は凄まじく「平家にあらずんば人にあらず」なんていう言葉もあるほどでした。

そんな時代の中、現在の静岡県伊豆半島の地方豪族「北条時政」の長女として1157年に政子は誕生します。

若かりし日の政子のエピソードにこんな話があります。

ある日政子の妹が不思議な夢を見たと政子に相談します。
その夢とは

「太陽と月を掴んで、それを着物の裾に入れたの
その後、橘の木を頭の上に掲げたわ
その木の枝の先には3つの実がついてるの」

政子は妹の話を聞くと「その夢は災いをもたらす恐ろしい夢だから私が買ってあげる」と言い、妹が欲しがっていた手鏡と着物を与え、その夢を買いました。

びんかん君

夢を……買う?

当時の人は「夢は神様からのメッセージ」という認識があり、夢には大きな力があるとされていました。
吉兆な夢であれば良いのですが、災いをもたらす不吉な夢は売ることで厄払いが出来るとされていたのです。

ですが、この場合は違います。

「実のついた橘の枝を掲げ太陽と月を手にする」

これはものすごく縁起のいい夢であり、政子は当然それを知っていて買ったのです。
そのことを聞いた弟の義時は

そんな良い夢を手に入れたのなら天下人になるかもしれない

と言います。

そしてそんなパワフルな女傑「政子」の元に一通のラブレターが届きます。
送り主は……源氏の御曹司「源頼朝」です。

源頼朝

「源氏」とは平家と並び名門武家と言われる名家です。
先の戦いで平家(平清盛)に敗れ、その正式な跡取りである頼朝は伊豆に流されていたのです。

どんかん先生

都からエリート御曹司が政子のご近所に来てたんだな

政子は吉兆な夢を買った効果だと喜び、頼朝と交流を深めますが父親である北条時政には秘密でした。
というのも北条時政こそが、平家からの命で頼朝を監視する監視役だったからです。

政子は父の目を盗んでは頼朝と会い

いつか平家から政権を取り戻して源氏の時代を作りたい

という源氏再興の夢を応援したいと思うようになります。

ですが、ある日その交流が父にバレてしまいます。
北条家の命運を左右しかねない大事件に父時政は激怒し、頼朝と別れるよう言いますが政子は拒絶します。
時政は仕方なく政子を監禁し、他の相手との政略結婚を急いで進めます。

結婚間近となったある日、政子は頼朝の元に脱走します。そして伊豆山神社に匿ってもらうのです。
政略結婚を拒絶する政子に困っていた時政でしたが、ある考えが浮かびます。

まてよ、もし源氏が平家を討ち、源氏の世の中になったらどうなる?
いち地方豪族の北条家が絶大な権力を握るということはあり得る……そうなれば政子は大手柄だ。今回の頼朝との縁は北条家を救うことになるかも知れない。

時政は、横暴な平家への不満が溜まっていた世の中の状況から「平家の時代は長くないかも知れない」と判断し、結婚反対ではなく結婚させてその時が来るまで隠し通すという方針に切り替えるのです。

平家と義経

平清盛

そしてそんな時政の読みは的中していきます。

平清盛は天皇家に自分の娘など血縁の者をどんどん入れていきます。
そして当時実験を持っていた「後白河法皇」を幽閉し、自分の娘婿を天皇に据えるという暴挙に出ます。

どんかん先生

藤原道長がやってたやり方だね

幽閉された後白河法皇の息子である「以仁王」が横暴な平家打倒の挙兵を呼びかける「令旨」を出し、
それがついに頼朝の元に届きます。

ところが、平家によってその「以仁王」が討たれてしまいます。
そして、逆に平清盛によって「令旨を受け取った源氏を討て」と号令が発せられます。

そんな中、政子は「立ち上がるべきは今」と勧め頼朝は挙兵をします。
平家への不満を持つ武士を集めながら地盤を固め、本拠地を鎌倉に構えることになります。

こうして以降、関東の武士の本拠地を鎌倉として、武士のリーダーである頼朝を「鎌倉殿」と呼ぶということになったのです。

びんかん君

だから「鎌倉殿」なのか

そんな中、ついにあの平清盛が病で亡くなります。

頼朝の首を我が墓前に供えよ

という遺言を残して……

ところが平家はこの遺言を叶えることができません。
平清盛という大柱を失った平家はここから一気に足並みを崩していきます。

そんな平家を追い詰めていくのが頼朝の弟である「源義経」です。

びんかん君

天才義経キター!

どんかん先生

この義経の大活躍は今回は大幅にカットします

そんな平家を追い詰めている頃、頼朝と政子の長男として生まれてくるのが「源頼家」です。
頼朝は頼家の「乳母」に自身の乳母でもあった「比企家」の尼に任せることにします。
そしてこの選択こそが後の悲劇を生むことになるのです。

一方、義経は連戦連勝でついに壇ノ浦にて平家を滅ぼします。

そんな大活躍の義経でしたが、頼朝の許可なく後白河法皇から官位をもらったことで兄頼朝の逆鱗に触れます。

朝廷から官位を自分の許可なく貰う行為……
それは、「武士による武家政権」を目指す頼朝にとっては許せない行為でした。

武士の未来の為にも頼朝は義経を討つ決断をします。

そこからの義経は頼朝の追討命に追い詰められていきます。
奥州藤原氏に逃げ込みますが、最終的には代替わりしたその藤原氏に討たれてしまいます。
悲運のヒーロー「源義経」31歳の若さでした。

どんかん先生

このときの「弁慶の立ち往生」が有名だよね

その後、その奥州藤原氏も滅ぼし一強となった頼朝は、朝廷から征夷大将軍に任ぜられ「鎌倉幕府」を開きます。
源氏の世の中をつくりたいという頼朝と政子の夢が叶うのです。

そんな中、頼朝と政子の次男「源実朝」が誕生します。

長男「頼家」と、この次男「実朝」
日本史上最も悲しい兄弟とも言えるこの二人が政子を怒涛の運命に巻き込んでいくのです。

頼家と時政

宿敵平家を滅ぼし、鎌倉幕府を開き、「頼家」と「実朝」という跡取りにも恵まれ……
まさに「盤石」と思われた矢先に……なんと頼朝が急死します。
死因は体調不良のまま馬に乗り落馬とされていますが、「暗殺」や「義経の呪い」など諸説あり、その死は謎に包まれています。

日本史上で初めて武家政権を確立し、将軍となった男……にもかかわらず日本史の中でさほど存在感がないのは、幕府樹立後この早すぎる死が影響しているのかも知れません。

政子のプランが音を立てて崩れていきます。
政子は頼朝の死を悼み「出家」して尼になります。

そして自身の髪で「曼荼羅」(仏教の世界観を描いた絵図)の梵字部分に刺繍します。

これはこれから起きるであろう権力争いに向けた政子の気合の表明なのです。

びんかん君

えー!自分の髪で!?

頼朝の死後、第二代征夷大将軍には長男頼家が就きます。
ですがこの頼家が政子ではなく乳母である比企家に懐いていたことによって、比企家と頼家が政子を睨みつける構図となってしまったのです。

比企家に操られた頼家の横暴を止めるために政子は奔走します。
将軍の独裁によって全てを決めていた仕組みも変え、有力御家人13人による合議制で物事を決める仕組みとします。

びんかん君

あ、これが「鎌倉殿の13人」


そうです。この13人の中に政子の父「時政」、弟「義時」も入っています。
そしてその中には比企家の「比企能員」もいます。
比企能員は将軍頼家をコントロールして北条家の排除しようという動きをしていくのです。

頼家を操る比企家と北条家の内部争いが過熱する中、なんと将軍頼家が病で倒れます。

動けない頼家に代わって当主を決めるのであれば、長男である「一幡」(比企家の娘との長男)が正当な後継者ということになりますが、北条家側は一幡ではまだ幼いとして、頼朝の次男「実朝」を当主にしたいと考えます。

そして最終的には

  • 東国は一幡
  • 西国は実朝

というように国を分割して統治する方針となります。

それを聞いた病状の頼家が激怒し、北条家の討伐を命じます。
ですがその企みを知った北条家に先回りされて比企家は討伐・滅亡。
頼家も幽閉され、その幽閉先で暗殺されます。

そしてついに実朝が第三代征夷大将軍となります。まだ若いこともあり後見人に政子政治をコントロールする「執権」として父時政がそれぞれ就任します。
伊豆の地方豪族に過ぎなかった男が娘の成り上がりによって今では「執権」という国の最高権力者となったのです。

そんな中、父時政の様子がおかしいという話を聞きます。どうやら最近できた若い後妻「牧の方」に夢中になっている様子。
そしてその牧の方は時政との子に権力を移行させたいと企んでいるとのことでした。そんな北条家を蔑ろにする振舞に政子は義時を使って時政を追い詰めていきます。義時に敵わないと悟った時政は出家して隠居します。

こうして初代執権が失脚して第二代執権として北条義時が就任することになります。
将軍には息子の実朝。その後見人には政子本人。執権には弟の義時。
完全なる政子体制がここに完成したのです。
ここで政子は思います。

夢に出てきた「太陽と月」
それは「実朝」と「義時」だったのでないかと。

公暁と朝廷

そんな鎌倉に不穏な影が迫ります。その男の名は「公暁」
鎌倉に強い恨みを持つ公暁と名乗るその男の正体は…なんと長男頼家の息子「一幡」でした。
公暁とは一幡の出家した名前だったのです。

天下を手中にして安心していた政子に衝撃の事実が伝わります。
なんと父を殺された恨みを持つ公暁によって3代目将軍実朝が暗殺されます。
もちろん公暁は討たれましたが、実朝がいないという事実はもう変わることはありません。

頼朝様の血が絶えたってこと?

政子は震えます。

北条政子

その後、第四代征夷大将軍として連れて来られたのが頼朝の縁戚である「藤原頼経」という2歳の子供でした。
しかし、それは誰が見ても北条政子が選んだ傀儡(操り人形)であり、誰が実験を握っているかは明らかでした。
そんな彼女を皆がこう呼びました。

どんかん先生

スキンヘッドの尼将軍

一方、その実朝の死をチャンスと捉え動き始めた人物がいます。それは武家から政権を取り戻そうとする朝廷「後鳥羽上皇」でした。
挙兵した朝廷軍は鎌倉に迫ります。これがいわゆる「承久の乱」と言われる争いです。

その規模と朝廷の敵(朝敵)になるという事実に鎌倉武士たちは震えあがりますが、そんな武士たちを全員集めて政子の大演説が始まります。

「貴族に都合よく使われていた時代に戻っても良いのか?」
「そんな過去を救ってくれた頼朝様の恩に今こそ報いるべき」

びんかん君

ひよってる奴いるー?いねえよなー!


こうして鎌倉武士たちは政子によって爆発的に士気を高め戦に臨むことになります。

「朝廷が絶対」というこの時代、ましてやリーダー不在の鎌倉幕府が朝廷に対して歯向かってくるという想定が無かった後鳥羽上皇はこの反撃に驚きます。
それもそのはず。本当のリーダーは尼将軍「北条政子」だったからです。

こうして鎌倉の武士は朝廷軍に勝利するのです。
敗れた後鳥羽上皇は隠岐へ流され、以降北条家の権力は盤石なものとなります。

それから鎌倉・室町・戦国・江戸…時代と共に支配者は変わっていきますが、武士による武家政権というものは明治維新までの600年間続いていくことになります。
私たちは歴史で当たり前のようにこの武家政権を学びますが、そうなるかどうかがこの「承久の乱」であり、政子の演説だったのかも知れません。

どんかん先生

武家政権にとっての大一番だったんだね

「武家の時代をつくる」という夫の夢をずっと応援していた日々……
夫を失い、子供を失い、髪も無くし、尼将軍となって朝廷に打ち勝ち夢を叶えた女性……
それが鎌倉時代における本当の主人公「北条政子」なのです。

びんかん君

勉強になりました

本編動画はこちら▼

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