現在に生まれた私たちは日本史や世界史など過去の出来事を歴史として学び今に生かせるという特権があります。
このコロナウィルス・変異株などの感染症に関しても同様で、今回のような世界的なパンデミックは今回が初めてではありません。人類は過去に何度も大きな危機に直面してきました。
- 今までの感染症が人類に対してとれくらい影響を与えてきたのか
- そのとき世界はどのように動いたのか
- それは現在どのようになっているのか
現在?過去のものはもう終わってるんじゃないの?
甘いな
その辺りを説明した良書を中田敦彦のYouTube大学で取り扱っていましたので感想踏まえて説明していきます。
想像を絶する感染症と人類との戦いの歴史。そしてそれは今でも終わってはいなかったのです。
知らないと余計なことを過剰に恐れたり不安に感じたりするでしょう。今回の内容を理解することで感染症を正しく恐れることで一歩前進できます。是非一緒に学んでいきましょう。
ペスト(黒死病)
黒い死……名前が怖いよ
病原体
ペスト菌(細菌)
経路
ノミ⇒ネズミ⇒人
※中世ヨーロッパでモンゴル民族の侵攻と共にやってきたクマネズミ(菌を媒介しやすいネズミ)の影響で広まったとされる。
※また、肺ペストになると人から人へ感染する。
症状
高熱・頭痛・錯乱を引き起こし、最終的には黒い斑点が現われて死に至る。
発症から病状悪化のスピードが凄まじく、葬儀・埋葬が追いつかないほどでした。
影響
中世そのものを終わらせたとさえ言われています。
十字軍によってキリスト教の権威が低下していた中でそのトドメを刺したのがこのペストです。原因不明の死の病に対し、民は神に救いを求めますが救ってくれるはずの聖職者たちは逃亡。一気にキリスト教への信頼感を失っていくのです。誰かのせいにしたくなる人間心理からユダヤ人への迫害が起きて人が人を虐殺するという二次被害まで発生しました。
またプラスの影響としては、労働者が一気にいなくなったことから農奴制の崩壊へ繋がったり、少ない人手で生産できるものとして考えられたのがブドウの生産だったとも言われています。
英仏百年戦争にも影響を与えたと言われています。
県外者を冷たい目で見たり、自分のことしか考えずに買占めしたり……今も昔も変わらないんだな
「ハーメルンの笛吹き男」というグリム童話をご存じですか?
えー!まさか!?
そう……これはペストのことを表した童話だと言われているんだよ
対策
抗生物質による治療ができるようになっていますが、ワクチンはありません。
現在
現在においても年間2000人程の感染者が出ています。
先進国と途上国、貧富の差など全ての人が衛生状態の良い状態ではないし、全ての人が良い治療を受けられる訳ではありません。今現在もこの病気と戦い続けているということを我々日本人は知らなくてはいけないのです。
コレラ
病原体
ビブリオ・コレラ(細菌)
経路
便で汚染された水・食物
症状
急性の下痢・嘔吐
影響
19世紀中に6回もパンデミック発生
長きに亘る戦いの末に原因を突き止め、以降水を消毒するという行為が行われるようになった。
上水の消毒や下水の処理なんかが整備されたのはこの感染症きっかけなのか
対策
塩素消毒による未然防止
かかってしまった場合は経口コレラワクチン(まだまだ効果有効期間が短く現在も研究中)
現在
現在においてもアジア・中近東・中南米では年に140~430万人もの感染者が出ており死者も出ています。
衛生面の良い国に住んでいると水のありがたさが分からないよね
黄熱病
黄熱病と言えば野口英世が有名ですよね
実は野口はこの黄熱病の病原体を「細菌」だと思っていたけど後の研究で「ウィルス」だったと判明したらしいよ。
病原体
黄熱ウィルス
経路
蚊(アフリカ中南米の猿と蚊でやり取りされていたウィルス。ジャングル探索に来た人間に伝染)
どうしてそれが世界に広まったのか……それは「奴隷船」。先進国がアフリカや中南米を植民地として侵略した際に現地の人を捕まえて劣悪な環境の中で本国へ連れていったのです。そしてその奴隷と同時に病原菌も運び込むことになってしまったのです。
蚊は人類の天敵と言っても良いほど、とてつもない数の人間を殺傷しているからね
ウィルスという爆弾を運んでくる超高性能ドローンだ
症状
発熱⇒黄疸(肝臓・腎臓への障害)⇒出血⇒そのうち20~50%が死亡
影響
1900年に原因は服などの物からではと思われていましたが、キューバのハバナ医師が「蚊」ではないかと推測するも馬鹿にされていた。しかし、マラリアの原因も蚊ではないかとなってきた中で志願兵による人体実験を経てついに原因を突き止めるのです。
対策
大がかりな蚊の駆除
1930年頃ワクチンが開発
1940年強力殺虫剤DDT開発
現在
ワクチンによる未然防止はできるが、発症した場合の特効薬はありません。その場合はその症状に対する対応しかないのです。現在においても熱帯アフリカや南米などの環境の悪い場所では流行しており、年20万人の感染者と3万人の死者を出しています、
天然痘
病原体
天然痘ウィルス
経路
口・鼻から侵入⇒リンパ節⇒血⇒臓器
症状
高熱と特徴的な発疹
影響
根絶するまでなんと人類の約三分の一の命を奪ったと言われている悪名高き感染病です。
ヨーロッパからインドに行く東航路しかなかった時代にコロンブスが西航路で発見した大陸。それが新大陸と分かった後にスペインが攻め込みます。現地の栄えていたアステカ文明・インカ文明になぜ少数のスペインが勝つことが出来たのか?それはこの天然痘だと言われています。免疫ない現地の人々は、免疫があり発症しないスペイン人に驚き、「宗教の力では?」とキリスト教に改宗したとまで言われています。
日本では奈良時代に朝鮮半島に渡った当時の日本エリートたちが高度な文化と同時にウィルスも持ち帰ってきてしまいます。都で爆発的に流行した天然痘の脅威に救いを求める目的で奈良の大仏が作られたとされています。
対策
ワクチン(感染したら必ず発症するという特徴と、人にしか感染しないという特徴)
現在
1977年ソマリア男性を最後に根絶
ついに人類が1勝しました
逆に言えばそれ以外は現在進行形なんだよ
まとめ
今回は「世界を変えた感染症」として4つの感染症を紹介しましたが、他にも
世界三大感染症と言われる
「HIV」「マラリア」「結核」
さらに「梅毒」「エボラ」
災害時に広まりやすい「破傷風」
発症したら100%死亡すると言われる「狂犬病」
そして今回の「コロナ」……。
結核なんて昔の病気だと思っていたよ
結核も進化していて薬への対抗力を高めた「新型結核」なんて話もあるらしいよ
こういった個性の違う人類の敵というのは今現在も我々を襲い続けているのです。
- それが一体どのような経路で
- どんな原因で
- どういう症状をもたらすのか
それを知らないで海外旅行などで危険な場所へ近づいてしまうことは危険です。
過去の多くの感染症は人がそういった知識を持たずに危険な場所からその原因を持ち帰ってしまったことから悲劇は始まっています。
何が起きていて何が危ないのか、それを知ることで防御を高めることは出来ます。
パンデミックは今回だけの特別なことではありません。過去に何度も発生しています。そして今までの多くの感染症が一度きりの危機で終わったことはありません。何度も何度も襲い掛かる。そういった人類の敵なのです。
今回の新型ウイルスに対しても人類は一丸となって対応できるのか。それは歴史を知り知識を高めることで少しづつ前進していきますし、まだ終わっていない感染症に対して「私たちに何ができるのか」ということを考えるきっかけにもなるのではないかと思います。
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