介護?ウチはまだ必要んじゃないかな?
「2025年問題」……これから日本は団塊の世代と言われる非常に多くの方々が全員75歳以上の後期高齢者になるという超高齢社会時代を迎えます。
そんな中、65歳以上の高齢者のうち5人に1人が認知症になるだろうと言われています。
自分の親は元気でまだ介護なんて必要ないという方も、いずれはやってくる介護というものについて
今から備えておく必要があるのです。
いざ自分の親が介護を必要としたとき、そこから急に学ぶよりも
今、健康なうちに少しづつ学んで準備しておくのとでは雲泥の差があります。
今回の記事では、自分の親に異変が生じたときに必要な手続きやお金の問題、各種サービスを利用していく流れなど
どのような手順で進んでいくのかというロードマップを学ぶことができます。
今まで心配だったという方も、この介護についての全体像を知ることでかなり精神的にも楽になるはずです。
「今まで介護をしたことがある」「介護の知識がある」という方には物足りない内容かもしれませんが、
「全く考えたこともない」「知らない」という方には非常に意義のある本書を中田敦彦のYouTube大学で取り扱っていましたので、分かりやすく説明していきたいと思います。
最初の手続き
意外と知られていませんが、介護が必要となったときには手続きが必要になります。
そーなの?なんで?
介護保険制度というものを使うためだよ
えー!そんな仕組みがあったのか
介護にかかる費用は全て自己負担でなんとかしなくてはいけないという訳ではありません。
介護保険制度という国の制度があるのでそれを使いましょう。
この介護度によって支給額が変わってきます。
介護度 | 一カ月の支給額(自己負担) |
---|---|
要支援1 | 50,320円(5,032円) |
要支援2 | 105,310円(10,531円) |
要介護1 | 167,650円(16,765円) |
要介護2 | 197,050円(19,705円) |
要介護3 | 270,480円(27,048円) |
要介護4 | 309,380円(30,938円) |
要介護5 | 362,170円(36,217円) |
調査のときに注意して頂きたいポイントがあります。
それは調査員から色々と聞かれる質問についてです。
本当は食事や排泄が上手くいかないとしても「ちゃんとできます」「大丈夫です」と答えてしまい、要介護度が間違って判定されてしまうケースがあります。
家族の年長者としてのプライドが邪魔するってことがよくあるみたい
そういったことがあることを念頭に置いて、親の行動で違和感を感じたら日々の出来事をノートなどに書き留めておくことをおすすめします。記録がしっかりあると調査員もどちらの言うことが正しいのか判断しやすかったりします。
メモしておかないと水掛け論になっちゃうね
手順をまとめると
介護保険証は65歳になると支給される
食事と排泄、一人で立てるか、理解度や記憶、不安行動、コミュニケーション力など
全国に約5200カ所(中学校校区に一カ所くらい)あり、介護の相談を無料で行える場所
要支援であればセンター職員が一緒に介護のプランを考えてくれるので介護プランを進めていく
要介護の場合は次のステップへ
要介護となる(なった)場合は地域包括支援センターからサービス事業所を紹介してもらえる
紹介された候補の中などから自身で選ぶ必要がある
サービス事業所のケアマネージャーと共に介護プランを作成していく(在宅・通い・施設など)
人によって相性があるが、家族だけでなく本人の意向も取り入れてくれるケアマネージャーが良い
ケアマネは実際に介護をするヘルパーさんとは違うから注意だよ
お金のこと
いくら支援する制度があったとしてもお金についての不安はあるかと思いますが、著者は言います。
親の介護はいくらかかるかではなく、いくらかけるかだ
これは一つのプロジェクトであり、それは予算から決めるべきなのです。
施設やサービスもピンキリでやろうと思えばいくらでも手厚く豪華にすることができます。
ですが予算は限られているはずです。
ここで大事なことは予算をハッキリさせることです。
予算?子供たちの?
違うよ
基本的に介護は親の(介護される側)お金を使いましょう。
親の介護は「親が望む生活をする」それを「子が支援する」という認識でいてください。
親がいくら持ってるか知らないよ
なかなか聞きずらいことかも知れませんが大事なことです。親の遺産について聞きましょう。
年金などいくら収入があるのか、いくら貯蓄があるのか、ローン(借金)の有無など……
そういったことが聞ける普段のコミュニケーションも大事になってきますが、なにより親の介護について真剣に考えたいという気持ちが伝わればきっと良い結果になるはずです。
いざ介護が必要になってから聞こうとしても状況によっては会話にならないということもありますので、健康なうちに聞くようにしましょう。
予算がハッキリしたら親が100歳まで生きるプランで考えましょう。
日本人の平均年齢が男女ともにありますが、平均年齢で考えた場合に予算が大幅に足りなくなって共倒れなんてことにもなりかねません。
全く貯蓄がないという方もでも色々と情報を集め知識を深めることで使える制度などがあります。
大事なことは予算の大小に関係なく計画的に介護プランを考えることなのです。
優しい人ほど親の介護は「全部自分でやらなきゃ」と思い込んでしまいます。
体力的にも精神的にも金銭的にも決して一人で背負い込まないでください。
親の介護を一人で全てやるなんてまず不可能だと思ってください。
兄弟や親戚・地域・国の制度・民間のサービス……そういったものと協力していくことでしか介護は乗り切れません。
介護は個人戦ではなくチーム戦です。
チームを組んでプランを立てて挑めば一人で背負い込む必要がなくなります。
なんだか少し気持ちが楽になったよ
一番やってはいけないこと……それは自分を犠牲にしてしまうことです。
親の介護のために仕事を辞める
全財産を親の介護のために使ってしまう
多くの方が介護に向き合う40~50代で仕事を辞めてからの再就職は一般的に難しいと言われています。
就職できたとしても年収ダウンは免れないよね
介護の時間を確保するうえで「介護休業制度」という制度もあります。条件などもありますが最大年間93日休むことができますので、会社を辞めるというのは本当に最後の選択肢にしておいてください。
また、介護のために階段に手すりをつけたり段差を無くしたりなどの「住宅改修費」に関しても申請すれば一部費用を負担してもらえるという制度などもあります。そういったことも地域包括支援センターに相談できます。
在宅・通い・施設のこと
ここからは介護のサービスについて話していくよ
在宅介護
現在、日本は核家族化しており、親と同居している人の方が少数派です。
同居していなくても県外など離れて暮らしている場合は
- そのまま離れた実家で介護をする「遠距離介護」
- 自分の住居地近くへ親を呼び寄せて介護する「呼び寄せ介護」
という2パターンの形態があります。
いずれの介護についてもやらなくてはいけないことが家族の連携です。
主に兄弟となるこの連携は、LINEグループを作るなど色々やり方はありますが、
おすすめは一つ介護用の口座を作ることです。
もちろん基本的には親の金を使うというスタンスですが、何か必要になったときなどに共用の口座があると便利です。
遠距離介護の場合、その移動費用や時間など思った以上にかかってきますので、休業制度や深夜バスを利用することをおすすめします。
深夜バスも平日・休日で料金が違ってくるから上手く工夫すると良いよ
全て自分が行くのだと大変ですのでホームヘルパーさんを予算内で利用していくのも良いです。
食事のことだけでしたらお弁当の宅配サービスなどもおすすめです。
また、民間の警備会社のサービスでセンサーを使った「見守りサービス」などもあります。
もしも急に倒れてしまったらという緊急の事態に備えておくことが可能です。
他にも各種サービスがあったりしますがそれは地域によっても違います。
地域包括支援センターなどでも色々と教えてはくれますが、自身で積極的に情報を集めに行くことが重要になってきます。
通所介護
そろそろ在宅では大変になってきたなと思ったら
「デイサービス」「デイケア」「ショートステイ」などの施設に通うことも視野に入れてみてください。
デイサービスとは、その施設で入浴・排泄・食事等の介護、機能訓練や色々なレクレーションなどを日帰りで行うサービスです。
デイケアになると、そこにリハビリも関わってきます。
ショートステイでは最大30日までいられます。
こういった施設を介護状態に合わせて活用していくことで介護の負担が少なくなります。
そして次は完全に施設に入居するかどうかですが
考えるうえでのチェックリストがあります。
- トイレを一人で出来ない
- 火の始末が不安
- 食事が一人で出来ない
- 介護者が限界を感じた時
施設を考えるタイミングの参考にしてみてください。
施設介護
いよいよ施設に入居となる場合ですが
色々な施設があり、ここからはケアマネージャーさんに頼ることが難しくなるところです。
ご自身で調べて頂くことになるのですが、大きく2つの施設に分かれます。
- 住宅型……サービス付きの高年齢層向け住宅
- 介護型……専門スタッフがいてリハビリや24時間対応可能
どうやって見分けたらいいの?
一般的には「特定施設」という言葉がついていたら介護が可能です。
そして全ての施設が最後まで面倒を見てくれる訳ではありません。
「ウチの施設では要介護度○○まで」など条件がある場合があります。
事前にしっかりと確認しておきましょう。
また、資料だけ読んで決めることなく、自分の目で見てから入居先を決めましょう。
そしてこんな質問をするのがおすすめです。
「こちらはどんなトラブルが多いのですか?」
こういった施設はトラブルは必ずあるはずです。
「この施設はトラブルは全くありませんよ」と返答してくる施設は要注意。
「○○といったトラブルが多いですが、○○などの対策をしていますよ」と丁寧に答えてくれる施設が信頼できると言います。
また、体験入居ということも出来ますので活用してみましょう。
ベストな施設は人によって違います。
自分では良いと思っても主役である本人(親)が良いとは限りません。
選択肢をいくつか用意していくのも大事になってきます。
まとめ
どうでしたか?
介護に関しての全体像が見えてくると安心できる部分があったかと思います。
地域包括支援センターやケアマネージャーさんと共に在宅介護の計画を立てて、その通り進んでいても必ず次の段階はやってきます。大事なことは先の情報を常に仕入れておくことです。
災害も同じですが、何かあったときに慌てるのではなく、今のうちから少しづつでも情報や知識を集め、備えておくことで結果は変わってくるのです。
勉強になりました
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