富士山噴火は地震に連動?その具体的な対策!

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その美しさで多くの人を魅了する山…「富士山」
一方で、過去に何度も噴火を繰り返してきた恐ろしい火山でもあります。

びんかん君

え?富士山って噴火するの?

どんかん先生

今でも活動している活火山だからね


近年、過去の噴火を読み解く研究の進歩によって、活火山である富士山の姿が少しずつ見えてきました。
「今後、本当に富士山の噴火なんてありえるの?」と思いますが、
専門家たちは「間違いなく噴火する」と口を揃えて言います。
また、以前の記事で地震に関してもお伝えしましたが、地震と富士山噴火は密接に関係しています。
今回のお話は、地震との連動のことも含めてかなり現実的な予測に基づく危機管理の話になってくるのです。

富士山噴火 その時あなたはどうする?
鎌田浩穀著
扶桑社

富士山噴火のメカニズムなど基本的な内容から、その被害予測と対策までを網羅した本書について中田敦彦のYouTube大学で取り扱っていましたので分かりやすく説明していきます。しっかり理解することで正しく恐れて災害に備えていきましょう。

目次

どれくらいの頻度で起きる?

富士山の噴火に関しては「もしかしたら起きるかも」というレベルの問題ではなく、今まで定期的に噴火してきた歴史があり、それは昔の文献にしっかりと残されています。
そのペースは平均するとなんと、100年に一度という周期で噴火してきているのです。

びんかん君

えー!そんなに噴火してるの?

数千年以上前からその100年周期のペースでの噴火を繰り返しながらも、ここ300年噴火していません。
つまり300年分のパワーが溜まっているという状態なのです。
前回の噴火は1707年(江戸時代)の宝永噴火まで遡ります。そしてそれはとんでもない被害だったと言われています。

びんかん君

300年無いならもう無いんじゃないの?

そんなことはありません。
富士山の噴火は人間の歴史より遥かに長い期間の実績がある自然現象です。
そしてその周期はかなり信頼に足るデータと言えるのです。

富士山は

  • 新富士火山
  • 古富士火山
  • 小御岳火山
  • 先小御岳火山

の四層構造になっています。

その層は噴火を繰り返して作られた歴史があり、層によって噴火の特色が違います。
そして現在の層である新富士火山は比較的に激しい噴火をするタイプだと言います。
しかもそれが300年溜まっていることから
次の噴火はあの宝永噴火に匹敵…いやそれ以上の規模になるのではないかと予想されています。

ハザードマップ改定

噴火の被害が富士山の周囲どれ程になるのかを国が示した「ハザードマップ」というものがあります。

2004年に作成されたこのハザードマップが17年ぶりの2021年に改定されました。
それは以前に出されたものより危険度を増したものであり、被害総額も2兆5000億円に及ぶと言われています。

これは今まで以上に気を付けて欲しいという国からの注意喚起であり、その内容と合わせて改定したという事実を私たちは重く受け止める必要があります。

ハザードマップを見たことが無いという方は、内閣府や各市町村のホームページなどで出している噴火におけるハザードマップをダウンロードして確認してみてください。
噴火による被害種類に応じたマップとなっており、自分の住んでいるエリアはどんな被害が及ぶエリアなのかを把握することが出来ます。

びんかん君

えーっと…僕の住んでいる都道府県は大丈夫そうだな

富士山噴火のエリアではないという方も、近隣の活火山を調べてみてください。

日本には活火山が111カ所あると言われています。
その中でも常時監視されているレベルの活火山が50カ所です。

逆に言えばこれだけ活動的な活火山が多くある日本だからこそ日本の火山学は世界トップレベルだと言えます。
私たちは、そのレベルの高い火山学を反映させたデータをいつでも閲覧することが出来るのですから、有効的に活用していきましょう。

南海トラフ地震との連動

びんかん君

え?地震と関係あるの?

どんかん先生

めちゃくちゃ関係してるんだよ


そうです。地震と火山は密接に連動していてセットで考えなくてはいけない災害なのです。

噴火の原理

STEP
地震によってマグマだまり周囲の岩盤にヒビが入る

火山地下20km辺りには「マグマだまり」というマグマが溜まっているところがある

STEP
岩盤にヒビが入ることで圧力が下がる
STEP
圧力が下がることによってイオン状の水分が水蒸気に戻る

マグマの中にはイオン状になった水分が含まれている

STEP
水蒸気に戻ると一気に体積が増える
STEP
体積が増えたマグマが火道を通って出てくることで噴火となる

つまりマグマだまり周囲の岩盤ひび割れ具合が噴火に直結しており、
だからこそ噴火はその原因を作る地震と関わってくるという話なのです。

実際、前回の宝永噴火についても宝永地震の49日後に噴火しています。そしてその宝永地震というのが300年前の南海トラフ地震なのです。
しかも厄介なのが、地震の後数か月~数年以内に起きるということです。

びんかん君

え?なんで?一緒に来た方が大変じゃん

どんかん先生

被災中に起きる噴火の被害は甚大だよ

被災して、その復旧作業中にとんでもない災害がもう一度起こるということによって更に被害が拡大するということも理解しておく必要があります。

びんかん君

なるほど

東日本大震災の影響

地震の規模が大きいほど噴火への影響も大きくなるのですが、
2000年代以降の巨大地震(マグニチュード9クラス)が世界で8回ありました。
そしてそのほとんどが噴火を連動させています。

あの東日本大震災に関しても日本の地盤に与えた影響ははかり知れません。
地震以降、日本の火山の動きが明らかに活発化しており、いつどこで噴火が起きてもおかしくないという状態になってしまっているのです。

実際に2016年の熊本地震の半年後に阿蘇山が噴火しています。
この東日本大震災が地盤に与えた影響によって
それ以上の規模が予想されている南海トラフ地震と富士山噴火が連動する可能性が更に高まりました。

どんかん先生

おそらく2030年代に起こる可能性が高いと言われているよ

南海トラフ地震に関しての記事はこちら▼

被害予測と対策

噴石・火山弾

噴火直後、噴火口の比較に降り注ぐ岩石のことです。

  • 噴石(温度が高くない石)=物理的ダメージ
  • 火山弾(温度が高い石)=物理ダメージ+火災

近隣住民の方や登山をしている方など、比較的近いエリア(2~4㎞以内)で起こる被害です。
過去には噴火直後、大丈夫だろうとスマホで撮影している間に降ってきた噴石でやられてしまったという事案も相次いでいます。
対策としては真っ先に付近の屋内に避難してください。その知識がないことによって失われてしまう命もあります。

溶岩流

噴火と言えばこのドロドロ溶岩のイメージのある方が多いのではないでしょうか。

800~1200℃の超高温であるこの溶岩流は人が走る速さと同じくらいの速さで迫ってきます。急いで非難することが重要です。
そしてその範囲はかなり広くまで流れてきます。
ハザードマップによると富士山噴火の場合、駿河湾まで流れてきます。つまり溶岩流によって高速道路・新幹線など東西の交通が分断されることになります。
300年溜まった量は凄まじく、小田原・厚木にも及ぶとされています。

びんかん君

えー思ったより広範囲

火砕流

火砕流とは火山灰・岩石・火山ガスの混合体です。

どんかん先生

ビジュアルも入道雲のようなモクモクだよ


その時速は100㎞です。つまりこれは逃げきれません。

溶岩流よりは温度が低いですが600~800℃と高温で巻き込まれたらひとたまりもありません。
そして火砕流の恐ろしいところは屋内に逃げてもダメであるところです。窓ガラスやドアなども突き破って内部を焼き尽くします。
これに対しての対策は、火砕流が来るエリアを把握して事前に避難しておくことしかありません。

びんかん君

事前に?


日本の火山学は世界トップクラスであり、主な活火山は常時監視していると前述しましたが、その中で低周波振動という信号を感知して噴火を事前に知ることができるので

  1. 自分の住所や職場が火砕流のエリアか確認する
  2. そのエリアであった場合は噴火に対する警報に敏感になる
  3. いざ警報時はそのエリアから速やかに出る

ということが大事になってきます。

火山灰

噴石・火山弾・溶岩流・火砕流のエリアではないと安心している方も
この広範囲に及ぶ火山灰を知っておく必要があります。

びんかん君

え?灰でしょ?車汚れちゃうなあ

どんかん先生

侮らないでね


勘違いしている方が多くいますが、火山灰は灰ではありません。

マグマの成分が固まり、砕け散ったすごく小さな微粒子状のものが火山灰の正体です。
「火山灰」という名前が圧倒的な誤解を生んでいるのですが灰ではなく、物質上ガラス片のようなものであり、浴びると人体には目や肺など甚大な被害がでます。
人体だけでなく精密機械にも入り込んで支障が出ます。

その被害期間は長く、噴火後数時間~数日間に亘ります。
そしてその細かい火山灰は風に乗って被害を広範囲に広げることになります。

富士山噴火の場合、偏西風に乗って東へ進み関東一円に微粒子ガラス片が1~2cm積もるほど降り注ぐことになります。

噴火のメイン被害は火山灰だと考えてください。

火山灰の対策は、「基本外出しない」という方針になりますが
外出しなくても良い状況を作るために水や食料などの事前の準備が必要になってきます。

どうしても外出という場合にはマスクはもちろん、ゴーグル・レインコート・軍手など現在のコロナ対策以上の対策が求められます。そして子どもは外出ができない状態になるでしょう。

この火山灰は水分を含むとなかなか取り除けない厄介なものです。
機械にも入り込むので水や電気など基本インフラが止まる可能性もあります。
また、交通に及ぼす影響も大きく、電車はもちろん車での移動も困難になります。飛行機も飛べなくなります。
被害品を流通できなくなることから農業や畜産業にも影響が出てきます。

どんかん先生

宝永噴火では火山灰が江戸に約10日以上続いたらしいよ

びんかん君

そんなに?

まとめ

どうだったでしょうか。

富士山噴火とは昔から周期的に行われてきた自然現象であること

その噴火と地震が密接に関係していること

発生が予想されている南海トラフと富士山噴火が連動するかも知れないこと

東日本大震災によってその可能性がかなり高まっており、国がハザードマップを改定するほど危険視しているということ

噴火による被害の種類と対策

特に火山灰とは小さなガラス片で人体や他にも様々な影響があること

だからこそ停電時の備え、非常食や水などの防災グッズを常備しておくことが大事になってきます。
10日間の備えまでとはいかなくとも、例え数日間であっても備えが「ある」と「全くない」のとでは生命を保つという意味において圧倒的に結果が違ってきます。

是非もっと身近に災害というものを考えてみてください。
防災グッズおすすめ▼

また、この日本は地震や噴火の多い国と悲観だけしないでください。
その火山によって

温泉があったり、
美味しいものが採れたり、
綺麗な景色があったり、
色々な文化が火山の周りで発展してきた歴史があります。

大事なことは

「山がもたらす恵」に感謝したうえで
「山がもたらす危険」についても正しく把握する

ということが日本人として一番良い形なのではないかと思います。

びんかん君

共存するためにも正しい知識が必要なんだね

本編動画はこちら▼

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