さすがにこの名作は知ってますよ
ホントに?今回は漫画版だよ
え?映画と何か違うの?
スタジオジブリの「ジブリ」とはイタリア語で「熱風」という意味だと言われています。
そんなスタジオの名前にもなっている「風」がタイトルに入った「風の谷のナウシカ」
今もなお多くの人々を魅了し続ける名作ですが、意外と原作について知っている人は多くいません。
それは、映画版の完成度が高すぎた故に満足して原作まで辿り着かないという謎の現象が起きてしまったからと言われています。
映画ではクシャナ率いるトルメキア王国とナウシカの住む風の谷を中心に描かれていますが、漫画での世界観は物語と共に更に広がっていきます。
腐海の森が広がる世界で争うトルメキアと土鬼(ドルク)という2大強国。腐海の植物を利用したり、巨神兵の蘇生、蟲の大移動など両国の争いは激化していきます。
風の谷も含めた同盟国である小国や、どちらにも属さない「森の人」という人たちなど様々な登場人物の思いや野望が絡み合う中、ナウシカは腐海の森が生まれた原因、人類の正体、王蟲(オーム)の役割について知ることになるのです。
そして全てを知ったナウシカが最後に出す答えとは!?
面白そう
今回そんな「風の谷のナウシカ」について中田敦彦のYouTube大学で取り扱っていましたので感想含めてまとめていきます。
月間アニメージュに連載され、スタジオジブリ長編アニメーション映画「風の谷のナウシカ」の原作となったオリジナルコミックス。
秘石
かつて大陸の西側に高度な文明が栄えていましたが「火の7日間」と呼ばれる大きな戦争によって大地は荒れ果て国は滅びていきました。
そこから1000年後……世界の大半は腐海(ふかい)の森に覆われた世界となっていました。腐海の森では瘴気(しょうき)という毒を発生させ、唯一そこに住むことが出来るのは巨大な蟲だけ。人は特別なマスクなしでは息もできないという死の森です。つまり人間の住める場所が限りなく少なくなってしまっている世界だということです。
そんな世界ですが、大きな国が2つ存在します。北にある「トルメキア」と南にある土鬼(ドルク)です。
えー!いきなり知らない国出てきた!?
そしてその北側の端の方にある小さな国がトルメキアの辺境諸国の一つである「風の谷」です。
風の谷は瘴気を和らげる海から吹く風に守られて暮らす人口500人程の小さな国です。谷を治める者は代々メーヴェと呼ばれる乗り物を使う風使いの名手であり、現族長の娘「ナウシカ」も立派な風使いでした。
ナウシカのモデルはギリシャ神話に出てくる姫らしいよ
そこに日本の神話の「蟲愛づる姫君」を合わせたとか
それが心優しき強き女性「ナウシカ」
あるときナウシカは風の谷上空で蟲に襲われている飛行船を発見します。なんとか助けようと奔走しますが墜落してしまいます。船には「ペジテ」というトルメキアの同盟国からの避難民が乗っており、その中にいたペジテの姫はトルメキアの軍がペジテを襲ってきたことを語り「秘石」をナウシカに託して亡くなります。
トルメキアが同盟国のウクライナを攻めた?
いやいや、「ペジテ」だから
そして次はその秘石を求めてトルメキア軍が風の谷へやってくるのです。
軍を率いてやってきたのはトルメキアの王女であるクシャナでした。ナウシカは谷を守るためクシャナの前に立ちふさがり戦いとなりますが、風の谷の剣豪ユパの仲裁もあり膠着状態となります。
トルメキアは国王である「ブ王」が治めており、その下には3皇子とクシャナがいます。
今回クシャナはこのブ王の命令で
- 秘石を持ち帰ること
- 土鬼を制圧させること
が課せられていました。
そのためクシャナは風の谷へも従軍を要求します。
病床の父親の代わりに数名の従者と共にトルメキア軍に従軍するナウシカでしたが、その途中で一機のガンシップに奇襲をしかけられ、ナウシカの仲間も腐海の森に不時着。ナウシカはなんとか仲間を森から逃がしますが、ガンシップのパイロットを助けようとして森の底へ落ちてしまうのです。
そこで二人は腐海の底には清浄な空気が満ちていることを発見します。ナウシカは以前腐海の植物を持ち帰り実験をしたことを思い出します。キレイな水で育てると毒を発しない=植物が悪いのでなく土や水が汚染されており、植物はその毒物を分解(浄化)してくれているのではないかという仮説に辿り着きます。
そして、助けたパイロットがペジテの王子「アスベル」であることを知ったナウシカは姫から託された秘石をアスベルに渡すのでした。
その後、ナウシカとアスベルは高貴な蟲の王と言われる王蟲(オーム)と会話をし、認められ腐海の森から脱出しますが、土鬼の軍に捕まってしまいます。
土鬼という国は神聖皇帝を崇める僧正によって国政が担われている宗教国家です。ナウシカたちはそこで土鬼軍が、クシャナを亡き者にしようと企む兄からの密告を受けてクシャナ率いるトルメキア軍を壊滅させようとしていることを知ります。
クシャナは罠にハメられているんだよ
ナウシカはそれをクシャナに伝えるために1人脱出します。そしてクシャナ軍に向かう途中ナウシカは恐ろしい光景を目にします。それは土鬼軍が王蟲の子供をエサに王蟲を怒らせてその大軍をクシャナ軍に向かわせてぶつけるという恐ろしい作戦だったのです。ナウシカは王蟲の子供をなんとか助けようとしますが、その子は既に瀕死の状態でした。
一方、王蟲の大軍突撃でクシャナは命からがら助かりますが、その1隻以外の軍は全滅してしまいます。
なんとか王蟲の子供を群れに返したいナウシカはクシャナの承諾・協力を得て王蟲の群れに子供を返します。
すると王蟲たちはナウシカに心を開いていきます。金色の触手がナウシカを抱え上げます。
そしてそれを見ていた土鬼の僧正の一人が古き言い伝えを語り驚きます。
その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。失われた大地との絆を結ばん。
ここ映画版の感動エンディングじゃん
大海嘯
ナウシカは王蟲から南の森に異変が起きていることを知り、クシャナと共に南へ向かいます。
一方、風の谷の剣豪ユパは独自の調査をしていました。土鬼の船に潜入して調査をしていると、土鬼にはとてつもない化学力があることを知ります。そこでは様々な実験が行われており、なんとあの王蟲の養殖が行われていました。
あ、クシャナ軍にぶつける作戦で使っていた王蟲の子供はこれか
そんな潜入捜査もついにバレて、脱出時に協力してくれるのが同じく潜入していたあのアスベルでした。
その後ユパとアスベルは行動を共にしていくのですが、二人の会話で明らかになるのが、トルメキアがペジテを襲った理由です。それはあの「火の7日間」において世界を滅ぼしたと言われる人口生命体「巨神兵」が発見され、その巨神兵の復活に必要なものが秘石だというのです。
つまり秘石を奪うためにペジテを襲ったんだ
ユパとアスベルは「森の人」という森や蟲と共存している腐海の住人に出会います。この森の人も王蟲と同じように「南へ向かう」と言います。
王蟲も蟲たちも森の人もみんな南へ……土鬼で何か起きているの?
クシャナが南へ向かっている途中、クシャナ本隊が土鬼軍と戦っているところを発見します。自分の大事な部下たちがブ王の策略で不利な戦地で戦っている様子を見てたまらずその本隊と合流します。人望のあるクシャナ合流で一気に士気を高めたクシャナ軍は土鬼軍を圧倒し始めます。
押され始めた状況を見て土鬼軍の神聖皇弟「ミラルパ」はある作戦を指示します。
なんと土鬼は腐海の植物を品種改良して腐海の蟲までも死に至るほどの猛毒を出す人口の腐海植物をバイオ兵器として利用する計画を企てていたのでした。
しかし、その人口腐海植物は温度管理の問題なのか突然変異を始め、取り返しのつかない状況になってしまいます。しかし、そんな良からぬことを予期していた蟲や王蟲の大軍は身を犠牲にして次々と浄化していきます。
その結果、ナウシカが恐れていた「大海嘯」によって土鬼の領土のほとんどは腐海に飲み込まれてしまったのです。
ナウシカはそんな優しい王蟲たちと一緒に死のうとしますが、王蟲の体の中に取り込まれ守られながら意識を失います。
巨神兵
窮地に立たされた土鬼はついに巨神兵の始動準備を始めることになります。
土鬼は兄弟で王位継承争いが行われていました。
代々超能力が使える者が王位を継ぐことになっていたので超能力を使える弟が王位を継承していました。しかし、時が経つにしたがって弟は老い弱っていきました。逆に兄は超能力は使えませんでしたが、科学の力で何度も若返りを繰り返していました。
若いままの兄VS老いた超能力者の弟
そして今回の弟の失敗を見てついに兄が反乱を起こします。禁断の「ヒドラ」という不死の化物を使い弟を殺害し、神聖皇兄「ナムリス」として君臨し、弟に使えていた僧正たちも全員処刑していきます。
意識を戻したナウシカが土鬼の暴走を止めに向かうと既に巨神兵は動き出していました。神聖皇兄はヒドラを従えナウシカに襲いかかります。絶体絶命かと思われたその瞬間、巨神兵の出すレーザーがヒドラを貫きナウシカを助けます。
実はナウシカはアスベルから再度託された秘石を持っており、巨神兵は秘石を持っているナウシカに従う意思を示したのです。巨神兵は「ママ……」と言葉を発し、神聖皇兄やヒドラを倒します。どうやらナウシカを親だと認識している様子でした。
墓所
ナウシカは巨神兵を「オーマ」と名付けて墓所と呼ばれる場所に向かいます。そこは1000年前の人々が残した文明や技術が残されており、だからこそ土鬼は様々な化学力を使えていたのでした。
墓の主が本当の黒幕だったのか
途中、墓所に向かう人に「その人にとっての理想的な環境を体験させてその世界から出たくないようにさせる」という罠にかかりますが、なんとか罠を抜け墓所に辿り着きます。そこは真っ黒く大きな建物でした。
そしてその黒い墓所はオームの攻撃で真っ二つになりますが再生を始めます。どうやらこの墓所は生命体であることが判明します。ナウシカはそんな墓所の中で巨大な石碑を発見します。
その石碑は1年に2回一行だけの指令を出し、神聖皇兄・弟はその指令通りに行うことで科学の力と権力を与えていたのです。
遥か昔、高度な文明を持っていた「旧世界の人類」はその強大な力を使って争いを始め、星を破壊していきました。1000年経ったナウシカの時代にまで続くほどの汚染です。もちろん当時の生命体が生きていける環境ではありません。旧人類は取り返しのつかない過ちを犯したことを自覚してある計画をスタートさせました。
その計画とは、一度全てを破壊して世界を再生した後に旧世界に存在していた動物や人類などの生命を復活させるという計画でした。その破壊の為に作られたのが巨神兵であり「火の7日間」で世界を滅ぼします。
そして再生のために作られたのが腐海です。腐海とは有害物質で汚染され崩壊した大地を浄化させるためのシステムであり、王蟲や蟲たちはその腐海を守る為に人工的に作られた腐海の番人だったのです。
ですが、旧人類がそのまま復活してしまうと人類はまた争い同じように世界を滅ばしてしまうと考えた旧人類は遺伝子に改良を加え、争いを好まない平和を愛する新人類を生み出すことも計画します。
その新人類は現在、墓所の中で卵になって眠りについていて浄化の完成と共に目覚め、新人類による争いのない理想の世界を作ろうとしていたのです。
ではナウシカたちのような現在の人類は一体何者なのでしょうか?
それは……旧人類によって改良された「汚染された空気でも生きていける人間」でした。
改良された理由は浄化システムである腐海の監視をさせるためです。
そして同時に「浄化された空気では生きていけない人間」でもあるため、世界が完全に浄化されたあとはその役目を終えて蟲たちと共に絶滅する運命だったのです。
そのことを悟ったナウシカは次の権力者としてその計画の協力を求められますが、墓所と新人類の卵を破壊する決断をします。
墓所と新人類の卵が無くなれば、浄化後の世界で生きることのできる生命は蘇生されず、その時生きている生命は死に絶えてしまいます。つまり人類が絶滅してしまうということです。
しかし、ナウシカはその計画は生命への侮辱行為だと言って否定します。汚れることも死ぬことも全てを受け入れて今を生きていくという決意をして墓所と新人類の卵を破壊します。
そして最後の力を振り絞ったオーマもナウシカに看取られて息絶えるのでした。
全てを終えて戻ってきたナウシカを多くの人々が祝福します。喜ぶ人々の顔は太陽の光で金色に輝いています。青い服を着たナウシカはそんな人々に微笑みます。
まるであの言い伝えのように……。
その後、トルメキアはクシャナが代理王となり土鬼との争いは終わりを迎えます。一見平穏になった世界でしたが、人類が生き延びる道はナウシカの決断によって既に絶たれています。
それでもナウシカは「生きねば……」と最後のセリフ残して物語は終わります。
まとめ
どうでしたか?思っていた内容と違ったのではないでしょうか?
子供というより大人向けのかなりシビアな内容だったね
この物語には差別・貧困・戦争・環境問題……あらゆる問題が全部詰め込まれた伝説の漫画なのです。
そして今読んでも一切古くないどころか、むしろ今読むべき漫画と言えます。
ナウシカが世に知れ渡り、大ヒットして、多くの人が観て、誰もがナウシカを好きになりました。
しかし、世界は一切変わっていません。もしかしたらナウシカが恐れているような方向に向かっているのかも知れません。
いつの間にか私たちは
- マスクをしなくては生きていけない腐海のような状況
- いつどこで国同士の争いが起きるかも知れない危険な状況
- 国内においても権力争いが絶えない
- 便利だからと使ってはいけないエネルギーを使ってしまっている
- それが暴発して大変なことになってしまったという事件も起こっている
- 貧富の差は広がり、どんどん環境が破壊されていく
という世界で生きています。
まるで預言書!?
私たちは何を考えるべきなのでしょうか。
宮崎駿監督の警告は今もなお、鳴り響いているのです。
できればこの世界が腐海に包まれないことを祈ってます。
本編動画はこちら▼